「BATTLE COASTER」解説

DJ RENAは、8歳の時に參加したダンスバトルでDJがパフォーマンスをしているのを見て、父親のターンテーブルでDJを始めた。いくつかのローカルバトルを経て、DJ Crazeとの偶然のセッションを経て、DMCチーム世界チャンピオンを5回連続で取ったDJ Hi-C（Kireek）の指導のもと、RENAは前代未聞の記録的な12歳でDMC DJ世界選手権を制覇した。（それまでの記録はA-Trakが15歳で獲得したものだった）その後も「2018 IDA World DJ Championships」「2018 Kame House World Classic」などのタイトルを獲得したが、選曲やバトルルーティンのための構成を考えるうちに、RENAは自然と音楽そのものに情熱を注ぐようになった。
そして、”アスリート”から”アーティスト”へと成長する選択をする日が来たのである。

15歳という若さで、トラックを作り、キーボードを覚え、ベースを弾き、ハード、ソフトを問わず、何でも試してみた。彼は、Ableton Liveなどのソフトウェアに深く入り込み、ハードウェアの面では、父親が昔から集めていたJuno 106、Prophet 6、Moog Subsequent 37などのクラシックなサウンドのシンセのコレクションに恵まれていたこともあり、シンセサイザーを武器にした。J DillaやFlying Lotus、日本のシティボップやアニメのテーマソングなどに影響を受けながら、バトルDJとしての感性とクラシックなシンセサイザーのコード構造を組み合わせて、1年半かけて徐々に自分のサウンドを作り上げていった産物が今回のファーストリリース「BATTLECOASTER」である。

BATTLECOASTERは、DJ RENAのここまでの道のりを描いた4つのトラックで構成されている。
パウンシーなロックからドラムンベースまで、ジャンルを飛び越えながら激しいベースとシンセが織りなすオーディオジェットコースターのようなトラック「Battlecoaster 106」から、ニュージーランドの多作なMC /プロデューサーであるCHAII（チャイ）をフィーチャーした陰鬱なハウストラック「Lightswitch」。そして、日本を拠点に活動するカメルーン+フランス+日本人のMCであり、注目度が高いMCバトル「高校生ラップ選手権」や「ラップスタア誕生」の決勝戦などにも参戦しているJUA（ジュア）のライムをフィーチャーした「No Lies」（フランス語、英語、日本語の3ヶ国語でヴァースを披露！）ではQ-TipのBreathe and Stopのドラムを再科理して2021年産シンセヘビーなヒップホップ風のトラックに乗せている。最後は「Dragonhole」というRENAが心を寄せる地元奈良県にある龍穴神社をトラック名にした、ベースとシンセのメガトン級のパンチと、Squarepusherの一昔前のトラックを彷佛とさせるテンボの速いドラムラインが目立つ曲。

このアナログでリリースされる4曲は、16歳とは思えない経験を描いた深さと幅広さがある曲の集まりだ。
しかし16歳であることにワクワクせざるを得ないと共にここから始まる素晴らしい旅を見守る楽しみでいっぱいだ。